英日:DTP用語解説
DTP(Desktop publishing)および出版印刷業に関連する用語の〔英日〕解説集です。
ふと目にしたDTP関連用語で疑問に思われたときなどにお役立てください。
また、営業活動中やプランニングの話し合いのようなビジネス場面で、アイスブレイキングのためのちょっとした会話のネタとして使ってみるのも一考です。
[見つけたい語句を日本語で検索できます]
A
- advertórial【アドバトリアル】
- 新聞・雑誌用の広告で、一見すると本文記事のような体裁をとった広告。記事広告、論説型広告。読者の広告に対する警戒心を薄める効果がある。アドバタイズメントとエディトリアルの混成語。
- álley【アレイ】
- 段組間の余白のこと。column gutter, column marginとも言う。もとは「路地」という意味。
- appéndix【アペンディクス】
- 付属文書、巻末資料。同じように「最後にくっついている」ので盲腸(虫垂)もアペンディクスという。
B
- bángtail【バングテール】
- 封筒の折り加工のひとつ。返信用封筒とその中に入れる記入用紙がひとつながりの紙に印刷されており、キリトリ線から記入用紙を切り離して使用する。ダイレクトレスポンス広告で、購入申し込みやアンケート回答に使われることが多い。bangは(馬や犬の)尻尾を切り詰めること。
- bélly bánd【ベリー・バンド】
- 帯封状の広告。「腹巻き」のように一冊の雑誌を帯紙で巻いたもの。雑誌を読むには帯封をとく必要があるため広告接触率が高い。
- bíngo cárd【ビンゴ・カード】
- ダイレクトレスポンス広告などにつけられる返信用ハガキ。あてはまる項目の番号にマークをつけて投函する形式のものが多い。
- bláckletter【ブラック レター】
- 主に西ヨーロッパで写本に使用された欧文書体の一つ。グロテスク体とも。太い線が多用されており、紙面ぜんたいが「黒っぽく」見える。英語でゴシックというと通常はこのブラックレターをさし、日本語でゴシックと呼んでいる書体は、英語のサンセリフにあたる。
- bléed【ブリード】
- グラフィック領域のうち、断ち落としのためにページ領域を越えて引き伸ばされた部分。塗り足し幅(ドブ)。「出血する」「にじむ」の意味も。
- blúr【ブラー】
- ぼやけていること。写真のぼかし効果を指すと同時に、「ぶれ」や「ぼけ」のことも指す。紙の「よごれ」「にじみ」等の意味も。
- brácket【ブラケット】
- 括弧のこと。日本語では角括弧[ ](square brackets, closed brackets)のことを指すが、英語では括弧類の総称で、丸括弧( )(parentheses, round brackets)や波括弧{ }(braces, curly brackets)、山括弧〈 〉(chevrons, angle brackets)、かぎ括弧「 」(corner brackets)も含む。対になっている場合は複数形bracketsとする。
- búlldog edítion【ブルドッグ・エディション】
- 発行部数の多い新聞の遠隔地向けに出荷される早版。
- búllet【ビュレット】
- 箇条書きの行頭記号。もとは「弾丸」という意味。項目ごとに文を際立たせて読みやすくしている。
- búried posítion【ベリード・ポジション】
- 他社の宣伝広告にはさまれて「埋もれた/buried」ような広告の配置。
C
- cállout【コールアウト】
- 文字サイズを大きくしたり太くしたりして、単語や文章を強調すること。もとは「(大声で)呼ぶ」の意味。マンガの吹き出しや、図の一部を線で引き出して説明するテキスト(呼び出し)や、色の網点、相互参照のことも指す。
- cedílla【セディラ】
- フランス語やポルトガル語で使われる「ç」や、トルコ語の「ş」などにおける、下部分の「ひげ」のこと。フランス語ではセディーユ(Cédille)、ポルトガル語ではセジーリャ(Cedilha)と呼ばれる。
- chévron【シェブロン】
- 山括弧〈 〉のこと。angle bracketsともいう。もとは山形(逆V字形)の意味だが、石油大手シェブロン社のロゴは逆V字形ではなくV字形である。軍服などに付ける山形袖章のことも指す。
- clútter【クラッター】
- ひとつの場所に宣伝広告が多く混雑した状態。情報過多で読者の注目は得にくい。
- cóld týpe【コールド・タイプ】
- 現在では当たり前になった写植やDTPなどの組版をさす。活版時代のように熱く溶けた鉛などは使用しないため。反対はhot composition。
- cólophon【コロフォン】
-
奥付のこと。日本とは違い、タイトルページの裏面など、前付(front matter, preliminaries)に入ることも多い。本のタイトルページなどにつける出版社マークのことも指す。
- cróp【クロップ】
- 写真の切り抜き加工。草や農作物を「刈り込む/収穫する」という意味。見せたい物のかたちだけを残して、画像の背景を消してしまうこと。
▲ページトップへ
D
- diéresis 【ダイエレシス】
- 母音を表す文字の上に付される2点からなる符号「¨」のこと。ドイツ語ではウムラウト、フランス語ではトレマという。
- díngbat【ディングバット】
- 欧文フォントのうち、アルファベットではなく記号や絵文字のみを表示するフォント。
- dítto márk【ディット・マーク】
- ノノ字点、同じく記号(〃)のこと。英語や中国語でも使用するが、使用法が日本語と異なる。
- dóuble trúck【ダブル・トラック】
- (とくに新聞広告の)2ページを使った見開き広告。
E
- éarplug【イヤープラグ】
- 雑誌の広告スペースとして使用される、左右のページ上部の角部分。
- ellípsis【イリプシス】
- 記号文字としての三点または二点のリーダー。英語の語意そのままに「省略」を示すために使われることが多い。
- éyedròpper【アイ ドロッパー】
- Adobe Illustratorの「スポイト ツール」の英語名。点眼器。スポイト(spuit)は、本来オランダ語で注射筒/噴霧器などの意味。
F
- flátplan【フラット プラン】
- 台割のこと。flat planと2語で書くと、家の間取り図のことも含む。
- fláttener【フラッタナー】
- (Adobe InDesignの) 透明機能の「統合(単層化)」処理。材料を平らにのばす意味。ボクシングでは、相手を「のばす」KOパンチのこと。
- fólio【フォリオ】
- 二つ折りの用紙・本のことで、葉(leaf)のラテン語foliumが語源。語源を同じくするfoliole(小葉:植物の複葉を構成する個々の葉)の同義語にleaflet【リーフレット】がある。ノンブルおよび、高さ15インチ (38 cm)以上の本のサイズを表す単語でもあり、法律文書の長さ(語数)の単位でもある。
- fóre-edge【フォレッジ】
- 書籍の前小口(反対は背)。テニスのフォアハンド(前打ち)のフォアと同じ。
本の小口に印刷された絵をFore edge paintingという。
▲ページトップへ
G
- gátefold【ゲートフォールド】
- 通常よりも大きなページ(または表紙)が中に折りたたまれている雑誌のページ。
- ghóst【ゴースト】
- 印刷仕上がり時の色むら。絵柄のある部分とない部分の差による、印刷ローラー上のインキ量の偏りで生じる。
- glýph【グリフ】
- 字形。文字の見た目をさす総称。Adobe InDesignの字形パレットを使うことで、特定の文字コードが分からなくても容易に異体字に切り替えができるようになった。
- grádient【グレディエント】
- 階調度。色または明るさの段階的変化。日本語ではふつう「グラデーション」というが、英語版InDesignのメニュー表記は「グレディエント」となっている。
- gúillemet【ギュメ】
- « » や ‹ ›のこと。angle quotes, french quotation marksともいう。フランス語、ロシア語や他のヨーロッパ言語の一部で引用符号として使われる。
- gútter【ガター】
- 見開きページのノド余白のこと。 段組み間の余白(Alley)を指す場合もある。ボウリングレーンの両横にあるガター(溝)と同じ。
H
- hínting【ヒンティング】
- 文字をラスタライズする際に、細い線や小さな文字の可読性を保つ目的でフォントに付与されているパラメータをヒント情報という。Adobe Illustratorで行うヒント処理としては、アンチエイリアス設定の [文字に最適(ヒント)] がこれにあたる。
- húe【ヒュー】
- 色の三属性の一つ、色相のこと。
I
- inférior【インフェリア】
- 下付き文字。subscriptとも。
- intérrobang【インテロバング】
- 感嘆修辞疑問符(‽)のこと。意味と用法は、疑問符感嘆符(?!)や感嘆符疑問符(!?)とほぼ同じである。
- ísland posítion【アイランド・ポジション】
- 新聞・雑誌に広告を掲載する際に、他社の広告にまわりを囲まれないようにする配置。目移りすることがないため注目されやすい。
▲ページトップへ
L
- léading【レディング】
- 行間のこと。line spacingともいう。活字の時代に行間に入れていた「鉛」(lead【レッド】が由来のため、発音は「リーディング」ではなく「レディング」。
- lígature【リガチャー】
- 合字。もとはヒモで「くくる/しばる」という意味。二つ以上の字を組み合わせてできた文字。
- lózenge【ロゼンジ】
- 縦長の菱形記号(◊)。ダイヤモンドともいい、数学記号などで使われる。トローチ(のど飴)は元々菱形だったため、Throat lozengeという。
▲ページトップへ
M
- mágic wánd【マジック・ワンド】
- Adobe Photoshopの「自動選択ツール」の英語名。魔法のつえ。
- mémory cólor【メモリー・カラー】
- 記憶色。物体の色そのものではなく、ひとの記憶の中で理想化された色の概念。広告写真などでは、被写体の特徴を際立たせる目的で、記憶色に近づける色補正を行うことがある。
- moiré【モアレ】
- 網点を刷り重ねたときに生じる縞模様。もとはフランス語である。
O
- óbelus【オベルス】
- 除算記号(÷)のこと。複数形はobeli。division signともいう。ダガー(†, ‡)記号はこの記号から派生したため、ダガーのことを指す場合もある。なお、除算記号に「÷」を使用しない国も多い。(スラッシュ(/)を使用する。)
- órphan【オーファン】
- 段落の最初の1行だけが、前ページに入って段落全体から(孤児/オーファンのように)はぐれた形になること。冒頭孤立行。最後の1行が次ページに送られる場合は、widow(未亡人)という。
- overshóot【オーバー シュート】
- ひとの目の錯覚を考慮して、アルファベットの高さが揃って見えるようにフォントの背丈を補正すること。上部が平らなXやHの高さに対し、Oでは3%、Aでは5%程度、上に突き出すようにデザインされている。反対はundershoot(アンダーシュート)。
▲ページトップへ
P
- perforátion【パーフォレーション】
- ミシン目加工のこと。穴をあけることという意味もある。
- pílcrow【ピルクロウ】
- 段落記号(¶)のこと。paragraph mark, paragraph signなどともいう。
- príme【プライム】
- ダッシュ記号(′)のこと。2つ重ねたものをダブルプライム(″)、3つ重ねたものをトリプルプライム( ‴ )と呼ぶ。クォーテーションマークで代用されることが多い。数学記号(例: A′)やフィート・インチ表記(例: 2′3″= 2フィート3インチ)で用いられる。
- print-ready【プリント レディー】
- アートワークに手を加えることなくオフセット印刷が開始できる状態のデジタルファイル、いわゆる「完全データ」のこと。伝統的な写真製版が主流だったころはcamera-readyとも言った。
R
- récto 【レクト】
- 右ページのこと(左ページはverso)。表面という意味もあるため、アラビア語などの右から左へ書く言語(右綴じ本)の場合は、左ページのことを指す場合もある。
- rémnant spáce【レムナント・スペース】
- 掲載誌の穴埋めのためにディスカウントされた広告枠。売れ残り枠。
- rúby【ルビ】
- (日本語の)フリガナ。かつて英国で5.5ptの活字のことを宝石のルビーと呼んでいた。ルビー以外に4.5pt:ダイアモンド、5pt:パール、6pt:エメラルドなどがある。ルビ文字の使用は日本や中国など漢字圏のものだったが、HTMLタグとして<ruby></ruby>が使われたことにより、日本以外でもその呼び方が知られるようになった。
▲ページトップへ
S
- sáddle stítch【サドル・スティッチ】
- 中綴じ製本。折本の中央に留め金を入れる綴じ方。saddleは、馬にのせる鞍(くら)のこと。製本ライン上で断面が三角山状の搬送コンベアに、折本を真ん中から開いて跨るようにのせる工程を「鞍かけ」という。
- seléctive bínding【セレクティブ・バインディング】
- 宣伝広告物のターゲット客層にあわせて、中身の印刷ページを差し替えて製本する手法。
- sérvice búreau【サービス・ビューロー】
- 出力センターとも。ビューローは机の「引き出し」のこと。
- síc【シク】
- 引用文に付けられる「原文ママ」。ラテン語で“sic erat scriptum” (thus was it written/かように記された)。
- slúg【スラグ】
- (Adobe InDesignの) 印刷可能領域。紙には印刷されるが後に断裁されて捨てられる部分。もとは活版時代に、余白をとるために使われていた鉛合金の込め物をさす。
- stét 【ステット】
- 校正指示としての「イキ/モトイキ」。ラテン語で“let it stand”(そのまま有効に)。
- stríkethrough【ストライク スルー】
- 打ち消し線。
T
- tábular líning【タビュラー・ライニング】
- Open Type機能の「等幅ライニング」。あたかも表組み(tabulation)の1マスに1字をきっちりはめ込んだように、すべての文字を同じ横幅で並べたときの設定。
- téar shéets【ティア・シーツ】
- 広告が掲載されたページを新聞・雑誌から切り取ったもの。掲載済みの証拠ページとして広告主に送られるほか、色味などの確認用にも使われる。
▲ページトップへ
V
- vérso【バーソ】
- 左ページのこと(右ページはrecto)。裏面という意味もあるため、アラビア語などの右から左へ書く言語(右綴じ本)の場合は、右ページのことを指す場合もある。
- vértical publicátion【バーティカル・パブリケーション】
- 業界専門誌(紙)。
W
- wídow【ウィドウ】
- 段落の最後の1行だけが、次ページの先頭に送られて段落全体から離れてしまうこと。末尾孤立行。もとは未亡人/やもめという意味。最初の1行だけが前ページに残る場合は、orphan(孤児)という。
Z
- zíne【ジーン】
- 紙媒体ではなくデータ形式で配布される雑誌。e-zine。
※環境によっては一部の記号文字や約物が正しく表示されない場合があります。
※語意、語源には諸説あることも多く、このページで紹介している例はあくまでも「多言語DTPセンター」スタッフの見解ですのでご承知おきください。また、DTPソフトウェアに関連する項目はバージョンや制作環境の違いにより別の名称になることもあります。